一般皮膚科

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湿疹(しっしん)・皮膚炎

いぼ

ヘルペスウィルス感染症

湿疹(しっしん) 皮膚炎

一般皮膚科

皮膚科の外来を訪れる患者様ではこの症状を呈する方が最も多いと思います。
湿疹(しっしん)の一般的な症状は、急性期では皮膚に痒みを伴った赤い斑(紅斑)が現れ、さらには細かい水ぶくれ(小水疱)、ブツブツとした盛り上がり(丘疹)、膿の溜まった状態(膿疱)など、さまざまな症状が同時に、または時期を違えて見られます。皮膚炎は主に皮膚の赤み(紅斑)やかさつき(鱗屑)、慢性化すると皮膚が厚く、硬く(苔癬化)なってきます。
どちらも乳幼児からお年寄りまで、さまざまな年代に発症し、場所にしても体の特定の場所にしかできなかったり、全身のどこにでもできたりします。原因もわかったり、わからなかったり、いろいろです。

代表的な湿疹

異汗性湿疹(汗疱)

外来にいらっしゃる患者様では意外に多いです。主に手足(掌、足底、指の側面など)にできる原因不明で体質的な湿疹です。痛痒い細かい水疱ができ、そのうち炎症がおさまると皮が剥けたり、硬くなって割れたりを繰り返します。汗が多く出る春夏に多いことと、以前は汗が関係していると考えられていたことより、このような病名がつけられましたが、今では汗だけが原因ではないことが分かってきました。アトピー性皮膚炎や金属アレルギーがある方に合併しやすいと言われていますが、そうでない人の方が多く、急に発症し、自然に治ってしまう人もいれば、出たり治ったりを繰り返す人も多くいます。よく、主婦湿疹と間違われていますが、主婦湿疹は主に水仕事を多くなさる女性の手指中心に湿疹ができます。しかしこの疾患の場合、手指だけではなく、足にもでき、また水仕事をあまりなさらない方にもできることから鑑別ができます。もう一つ鑑別するべき疾患は足の水虫です。足底にできる水虫は同じような小水疱ができ同様に痒いです。鑑別は顕微鏡で白癬菌の有無を見れば診断が簡単につきます。

治療

基本的には症状の程度に合わせて湿疹にはステロイド外用剤、また保湿剤を頻繁に外用することと共に、皮膚の炎症を刺激するような水仕事をされる場合は手袋の使用、また、どうしても料理など素手でする必要がある場合はそのあとすぐ手を水で洗い流して、タオルで拭くことをおすすめしています。症状が強い場合は、抗アレルギー剤の内服、少量のステロイド剤の短期内服、漢方などの併用を行います。また、多くの場合、疲労やストレスが続いている時に発症、増悪するので、生活習慣、体調に注意していただいています。

自家感作性湿疹

1か所の長く続く湿疹(原発巣)の悪化を引き金として、そのアレルギー反応が全身に散布する湿疹を言います。

治療

原発巣を含め、全身の湿疹の治療を行います。ステロイド剤の外用はもちろんのこと、多くの場合、症状の程度に合わせて抗アレルギー剤の内服、場合によっては少量のステロイド剤の内服も行うことがあります。

脂漏性湿疹

乳児期と成人の脂漏部位に赤みとかさつき、時にはかさぶたもできる慢性の体質的な湿疹です。原因として皮膚の常在菌のひとつでもあるマラセチア菌が関与しているということ以外に食生活、ストレスなども関与していると言われています。

治療

湿疹の治療とマラセチア菌に対して抗真菌剤の外用、ビタミン剤の内服。

乾皮症、皮脂欠乏性湿疹

乾皮症とは皮膚の角質層が水分を失い皮膚がカサカサし、しまいには炎症をおこし、赤く痒く湿疹ができることが皮脂欠乏性湿疹と言います。生理的な乾皮症と皮膚炎に続発する乾皮症に分かれます。乾皮症は冬に発症することが多く、外気の乾燥、暖房器具による湿度の低下などの環境の影響も大きいです。老人性乾皮症では年齢に伴い角質層における天然保湿因子(Natural Moisturizing Factor:NMF)が減少していることが分かっています。主に腰から下に症状があらわれます。

治療

まずは皮膚のバリアーを守るため、各種保湿剤を外用すると共に、湿疹のみにステロイド外用剤を使います。入浴時には石鹸の使用は回数を減らし、皮脂や汗の多い部位(脇、胸背中の正中、おしり、足)のみに石鹸を泡立てて、手で洗われることをおすすめしています。また、毎年冬に症状が出ると分かっていらっしゃる方には、秋から予防するため、スキンケアをしていただくこともお勧めしています。

あせも

あせも(汗疹)とは、汗を多量にかいたあとに、皮膚に細かい水ぶくれやブツブツが現れる皮膚疾患のことです。
汗をかきやすい夏に多く、小児に発症しやすい疾患です。
高熱を出している方や高温の環境下で作業している人にも見られます。
あせもは、症状の違いから3種類に分けられます。
小さな白っぽい水ぶくれができる水晶様汗疹、赤い丘疹が生じ、痒みや軽い痛みを伴う紅色汗疹(こうしょくかんしん)、皮膚が部分的に盛り上がって、その部分が汗をかけなくなる深在性汗疹の3種類です。深在性汗疹は亜熱帯地方に多く、日本ではあまり見られません。

原因

多量に汗をかき、汗管(汗を出す管)が詰まるために、汗が皮膚の外に出られなくなり、皮膚内の組織に漏れ出ます。すると水ぶくれができたり、炎症を起こして痒くなったり、赤くて痒いブツブツができたりするのです。

治療

水晶様汗疹は特別な治療を行わなくても2~3日で症状が治まります。紅色汗疹にはステロイド外用薬を使用します。細菌感染が加わっている場合は、抗生剤を用いることもあります。
あせもの再発を繰り返さないためには、汗が出たらシャワーで流すか、こまめに拭き取るように心がけることが大切です。

その他原因不明の湿疹

来院される患者様の中には原因は分からないが、数年前から非特異的な湿疹が続くとおっしゃられるもいらっしゃいます。湿疹の原因となる刺激には、化学物質(接触性)、擦れたり引っ掻いたり、紫外線や寒冷による刺激(刺激性)、飲食物や薬剤、体質など、実にさまざまなものがあります。もちろん、すべての人がこれらのものによって湿疹を起こすわけではありません。今までは何でもなかったものが、ある日突然に湿疹の原因となることもあります。この場合、しっかり問診をし、必要に応じて血液検査、パッチテストなど行い、原因を検索します。場合によっては麻酔をして皮膚の一部を取る皮膚生検が必要になることもあります(この場合は大学病院などをご紹介します)。

アトピー性皮膚炎 (Atopic Dermatitis)

アトピー性皮膚炎とは、増悪 寛解を繰り返す、痒みのある、湿疹を主病変とする疾患であり、多くの人はアレルギー素因(喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、花粉症の家族歴、既往歴、IgE抗体を産生しやすい体質)をもつ疾患と定義されています。日本皮膚科学会の診断基準があり、主に3つの項目:1)痒みがある、2)特徴的な皮疹と分布がある、3)慢性で繰り返しの経過をたどる、です。アレルギーのタイプとしては、I型(IgEが関与しているタイプ)とIV型(リンパ球が関与しているタイプ)が関係していると言われています。また、皮膚のバリアー機能の低下があることが分かっています。大まかにはこの3つの項目で診断はつくのですが、場合によっては、現在のアレルギーの程度(病勢)を知る、あるいは、増悪因子となっている可能性のある物質の検索に血液検査やパッチテストを行うことがあります。悪化因子は汗、乾燥、花粉(雑草)、などはありますが、意外と多いのがストレスと疲労です。女性の場合、生理前に悪化することも多いです。食事や規則正しい生活もとても大切な要因です。子供のころあったアトピーが一度治っても、受験、就職、結婚など、人生の節目ふしめのストレスでアトピーが再発したり、悪化することも多いので注意が必要です。

治療

まずは皮膚バリアー機能が低下しているのでその保護を行いながら、炎症のある部位にステロイド(または非ステロイドのタクロリムス)外用剤を使用します。

*ステロイド外用剤に対する恐怖感のあられる患者様も時にいらっしゃいますが、当院では日本皮膚科学会のガイドラインに則ってステロイド剤の種類(強さ)を選定して使用しているため、指導通りにお使いいただいた場合はほとんど問題ありません。但し、不安のあられる患者様には充分説明をし、納得いただいた上で使用することにしています。

一旦きれいになっても、皮膚バリアー機能が体質的に低下していることを忘れずに、夏でも冬でも保湿剤で保護してあげることが大切です。その方々それぞれの好みがありますので、夏はさらっとしたローションタイプ、冬はもう少し保湿力のあるクリーム、あるいは軟膏タイプをおすすめしています。痒みがあると、掻破することによって皮膚のバリアー機能がますます崩れていってしまうので、抗アレルギー剤の内服も症状によっては併用します。その他、漢方治療や規則正しい生活(睡眠、適度の運動、自律神経を整える)、食生活の改善、ビタミン療法など総合的に治療していくことで症状が早く改善することが多いです。

接触性皮膚炎

いわゆる“かぶれ”です。原因物質を可能なかぎり問診とパッチテストを行い原因物質の特定と湿疹の治療を行います。

乾癬

銀白色の鱗屑(りんせつ:皮膚の粉)を伴い、境界の明瞭な盛り上がった紅斑が全身に出ます。乾癬(かんせん)の患者さんの90%くらいが、この症状です(尋常性乾癬)。
大きさ、数、形はさまざまで、発疹が癒合して大きな病変を形成することもあります。できやすい部位は、慢性かつ機械的な刺激を受けやすい頭部、肘・膝、臀部、下腿などです。青壮年期に発症することが多く、多発しますが、通常、内臓を侵すことはありません。痒みは約50%の患者さんに見られます。爪の変形や関節炎を伴うこともあります(関節症性乾癬)。稀ながら、発疹が全身に及ぶこともあります(乾癬性紅皮症)。その他、喉が痛んだ後(扁桃腺炎)に雨滴状の小さな乾癬皮疹ができる滴状乾癬、重症の汎発性膿疱性乾癬があります。

治療

乾癬は慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返し、一律な治療方針は無く、患者さんの病気の程度、置かれた状況に応じた治療法を選択することになります。
通常は、外用薬から始めます。外用薬はステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬が主に使われますが、それぞれ特性が異なります。症状が重度の場合は内服薬(レチノイド、シクロスポリン、メトトレキサートなど)や紫外線療法を行いますが、その場合は専門医療機関をご紹介させていただきます。

じんましん

突然、虫刺されのような赤いふくらみが皮膚に出現し、強いかゆみを伴います。ふくらみの数は増えたり、くっつきあって地図状になることもあります。じんましんは体のどこにでもできます。ただし、湿疹、皮膚炎との違いはその日のうちに跡形もなく消えてしまうことです。それで、また出たり消えたりを繰り返します。これがじんましんの定義です。これは、じんましんは皮膚の血管の反応であり、その血管があるきっかけでかゆみ物質を放出し、血管が拡張するためこう見えるだけであって、皮膚の表面(表皮)には何の変化もないからです。ですので、治療は主に抗ヒスタミン剤の内服か、症状が強い場合はステロイドの内服および抗ヒスタミン剤やステロイド剤の注射も行います。

原因は特定できないことも多いのですが、主に急性と慢性に分類されます。

急性の場合は、主にアレルギー性の場合が多く(食べ物、お薬、サプリ、花粉など)原因が判明することが多いですが、慢性の場合、物理的刺激(圧迫、摩擦、寒冷、温熱、紫外線、汗)、自律神経のアンバランス(疲労、ストレスなど)、感染(ウィルスや細菌感染、、いわゆる風邪)などが多いようです。しかし、これらはなかなか検査では分かりません。

にきび

にきびは身近な皮膚疾患ですが、顔にできることが多いため、気にする人も多いものです。
にきびが人の気持ちにどのような影響を与えるかについて調べた海外の調査結果がありますが、自尊心が傷つけられた、気持ちが暗くなった、怒りっぽくなった、といったネガティブな感情を持つ人の少なくないことが報告されています。
このように私たちの気持ちに大きな影響を与えるにきびですが、適切な治療をすれば、きれいに治すことができます。

原因

にきびの直接的な原因は、毛穴が皮脂の過剰な分泌と角質成分でふさがれて、いわゆる「黒にきび」、「白にきび」となります。ここに皮脂分泌の増加や細菌感染などが加わると炎症を起こして「赤にきび」となります。「赤にきび」になると、炎症は毛包周囲に及び、ひどい場合には炎症が治ってからも赤みや炎症後の色素沈着や瘢痕(きずあと)として皮膚が硬くなったりくぼんだりする「にきび跡」の状態となってしまいます。大人のにきびは、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足、紫外線、ストレスや生活環境など、さまざまな要因が複雑に絡み合ってできることが多く、治りにくいのが特徴です。

治療

一般的治療

黒にきび、白にきび:毛穴のつまりを改善するベピオゲル、ディフェリンゲル(保険適応)
赤にきび:抗生剤の外用、膿んだり腫れたりしているにきびには抗生剤の内服も併用

漢方治療

にきびの漢方治療には現在の赤いにきびの炎症を鎮静化する方法と、体の中の不調を治療することでにきびが改善してくる治療法があります。後者の場合、ある意味、大人のにきびは意外と体の不調のサインでもあります。例えば、ストレスが多い、自律神経失調、便秘、冷え症がある、胃が弱い、生理不順や生理痛がひどい……など、にきびに関係している症状があるとすれば、それを改善させる漢方を服用することにより、体調もにきびも両方改善することもあります。

日常生活の注意点
睡眠

肌のゴールデンタイムといわれる午後10時~午前2時にかけて、毎日6時間以上眠るのが理想的ではありますが、現代社会でこれを厳密に守るのはなかなか難しいですよね。まずは、「日付が変わる前に布団に入る」くらいを目標にしましょう。そして、ぐっすり眠るため下記の方法を取り入れてみてください。

  • 寝る前にはパソコンやテレビなどの強い光の刺激を避ける
  • ぬるめのお風呂で体を芯から温める
  • ストレッチなどの軽い運動をする etc

これらを実行して、良質な睡眠を取りましょう。

食生活

十分な水分、バランスのとれた食事、発酵食品・生野菜の摂取、豊富な食物繊維これらすべてが、あなたの美肌のもとになります。また、体の冷えるような食事、飲み物には特に女性の方は注意してください。お薬やサプリメントに頼るのは簡単ですが、まずは、毎日の食生活を見直してみませんか?

ストレス

ストレスを受けると男性ホルモンの分泌が高まり、皮脂が過剰に分泌されます。ストレスの全くない生活、というのはちょっと現実離れしていますが、気分転換やリラックス時間を、忙しい日常にも上手に織り込んで、適度にストレス解消ができればいいですね。 また、女性の場合、ホルモンバランスが大きく変わる生理前の1週間は黄体期と呼ばれ、肌の状態が不安定になりやすい時期です。この時期をうまく乗り切って、にきびを悪化させないこともキーポイントの一つです。

自費治療

ホームケア
  • ビタミンC ローション: 水溶性ビタミンCローション(APS)
    または、両親媒性ビタミンCローション(APPS+E)
  • スキンピールバー:軽いピーリング作用のあるフルーツ酸(AHA)の石鹸です。週2回ほど泡立てて気になる部分に10~30秒ほど置いておくことで古い角質層を薄くはがし、肌のターンオーバーを促進する治療です。毛穴に詰まった角質を除去するため、にきびの治療に効果的です。
来院施術
  • ビタミンCのイオン導入

ビタミンCには抗酸化作用、抗炎症作用があり、にきびの赤みを抑え、悪化を予防する効果が期待できます。皮脂の分泌の抑制、にきび跡(赤み、炎症後色素沈着)の治療にも役立ちます。また、コラーゲン産生を助ける作用があるのでにきび痕の予防治療にも効果があります。効果を得るためには1~2週に1回の施術をおすすめします。イオン導入は、このような効果のあるビタミンCを、イオンの力で皮膚のより深い層まで浸透させる方法です。ケミカルピーリング後にイオン導入を行うと、より効率よく有効成分が肌に浸透するため、両者を組み合わせるのもおすすめです。

ケミカルピーリング

ピーリング剤を塗布することで、古い角質層を薄くはがし、肌のターンオーバーを促進する治療です。皮脂の分泌を抑制し、毛穴に詰まった角質を除去するため、にきびの治療に効果的です。また、にきび痕の色素沈着を改善する効果もあります。2~4週に1度の施術をおすすめします。

皮膚感染症

水虫 (足、爪)

地球上にはカビ(真菌)がたくさん存在しており、私たち人間と共存しています。納豆菌や乳酸菌といった生活に役立つものばかりでなく、人間に病気を起こすカビもいます。水虫菌もその一つです。水虫菌は正式には白癬菌(はくせんきん)と呼ばれます。
この白癬菌が棲み着いて増殖を始めた頃、私たちの体は白癬菌を追い出そうと、激しい炎症を起こして抵抗します。この炎症が痒みのもとになります。これが急性期の水虫の症状です。しかし、しばらく経つと、白癬菌に対する炎症を起こさなくなり、共存状態(慢性化)となります。急性期の水虫の方が治療への反応は良いので、水虫は痒い時が治し時と言えます。

治療

水虫の治療には、一般に抗真菌薬が使われます。抗真菌薬には塗り薬と飲み薬があり、爪白癬のような爪の中に薬の成分が届きにくい難治性のものは、内服薬が第一選択になります(ただし、最近では内服薬と同じぐらい効果がある外用剤も出てきました)。
外用薬の効果を発揮させるためには、とにかく薬をきちんと塗ることが大切です。特に入浴後は皮膚の角層(皮膚の一番外側に位置し、外界と接する部分)がふやけており、薬が浸み込みやすいので、お風呂上がりに塗るのが効果的です。
また白癬菌を逃さないためにも、患部だけではなく、両足に塗ります。1か所に見つかったときにはすでに他にも感染しています。治療のいたちごっこにならないためにも、患部だけではなく、両足に塗ります。足底、趾間、など全体に塗ります。さらに、患部の清潔、乾燥を心がけることも重要です。角層の表面を清潔に保つことは、白癬菌の新たな進入を防止し、水虫の悪化を防ぎます。また症状が消えても、最低2ヶ月は根気よく治療を続ける必要があります。自分で勝手に治ったと思い込んだりせず、必ず医師の診察を受けた上で、やめてください。
内服薬は集中的に1週間を3クール内服するものと、毎日半年飲み続ける方法があり、経過を見ながら医師が効果を判定します。内服薬は稀に肝機能障害や貧血などの副作用を招くことがあるため、血液検査で副作用をチェックしながら治療します。

いぼ (尋常性疣贅)

皮膚にできた小さい傷などから、ヒトパピローマウイルスというウイルスが感染し、イボを作ります。手や足の指、膝などにできるイボは、固く表面がざらざらした突起物として認められます。足の裏にできるイボは、体重で圧迫され、扁平でざらざらした面状になります。複数のイボが敷石状に密集して多発することもあります。顔面や首には、固く糸状に突起したイボができることもあります。よく“うおのめだとずっと思っていた“と、おっしゃられる方がいらっしゃいますので、ご心配でしたらまずは診察を受けてください。いぼは自分の皮膚の周囲に広がったり、他の部位に伝染することがありますので、触らないで、早期発見早期治療が大切です。

イボの主な治療は、液体窒素冷凍凝固療法です。-196度の液体窒素を綿棒に含ませていぼに押しあてたり、スプレーで吹き付けたりしてイボの組織にダメージを与え、除去する方法です。1、2週に1回の治療を、イボが無くなるまで繰り返します。大きいイボになると、治療回数も増える傾向にありますので、小さいうちに治療することをお勧めします。

水いぼ (伝染性軟属腫)

水イボは、ポックスウイルスが皮膚に感染して生じる、通常数mm以下の白く滑らかな表面をもったイボです。主に子供で発症します。このウイルスに対する免疫を獲得すれば、水イボは自然に治癒しますが、それには数ヵ月から1年以上を要する場合も多く、その間に水イボが多発してかゆみを伴い、引っ掻いてさらに広がるという患者さんも少なくありません。また、一つの水イボが大きくなり、炎症を起こして痛みを伴うこともあります。

当院では、麻酔のテープを併用し、なるべく痛みの少ない状態で水イボをつまみ取る方法を採用しています。ただし、1回に除去できる個数には限りがあるため、数が少ないうちに治療を始めることをお勧めしています。(水いぼの除去は予約制となります。水いぼ初診の方はまず診察を受け、診断を受けてからとなります。詳しくはスタッフまで問い合わせてください。)

とびひ(伝染性膿痂疹)

あせも・虫さされ・湿疹などを引っ掻いてできた傷や、転んでできた擦り傷などに細菌が感染してかゆみの強い水疱ができ、水疱内に含まれた細菌の作る毒素が周囲に「飛び火」して、周辺や離れた部位にも新たな水疱を作ります。

黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌(溶連菌)などが原因菌です。
通常、抗生物質の飲み薬と、塗り薬で治療しますが、最近は一般的な抗生物質の効きにくい菌が原因となったとびひも、しばしば見られます。飲み薬を始めて2、3日しても改善しないときには、お薬の内容の見直しが必要です。必ず再度受診しましょう。

また、症状のある部位は、清潔にすることが大切です。
入浴時には湯ぶねに入らず、シャワーでよく洗い、処方された塗り薬を塗って、可能であれば患部を覆いましょう。

頭しらみ(虫の感染)

シラミは大きさ3ミリほどの虫で、頭髪に白いフケのようなシラミの虫卵が点点と付着して気づかれます。顕微鏡検査でシラミの成虫や卵の存在を確認します。市販の「スミスリン・パウダー」や「スミスリン・シャンプー」を使用します。

虫さされ

蚊・ブヨ・アブ・蜂などの昆虫に刺されて生じます。
刺された直後からかゆみや赤みが生じる場合と、翌日以降に症状が出て、ひどく腫れたり、水ぶくれになったりする場合があります。小さいお子さんの場合、後者が多く見られるようです。

いずれも急性の強い炎症症状なので、比較的強いステロイドの塗り薬を短期間使用します。痒みや腫れが強ければ、かゆみ止めの飲み薬も処方します。

かき壊すと傷になり、跡が残ったり、とびひなどの感染症状を引き起こしたりする危険があります。

ヘルペスウィルス感染

帯状疱疹

子供のころにかかった水ぼうそうのウイルスが神経節に潜み、免疫の低下によりずっと抑えられていたウィルスが再度活性化して発症します。疲労やストレス、まれに内臓疾患がある場合に起こることが多いです。

皮膚の症状は特徴的で、神経支配に一致した部位で帯状に小水疱が集まりますが、発症初期は水疱が点在するのみで、診断が難しい場合もあります。皮膚の症状に先だって、ピリピリとした違和感や、痛みを訴える患者さんもしばしば見られます。多くの場合皮疹や疼痛は体の片側のみに出現します。

治療法は抗ウイルス薬の内服や点滴が原則です。痛みのコントロールも重要で、消炎鎮痛剤や神経の回復を促す薬の投与も行いますが、痛みが長引く場合もあり、注意が必要です(帯状疱疹後神経痛)。

単純ヘルペス

口腔内や唇、眼瞼、指、性器などに小さい水疱の集まりが生じる疾患です。単純ヘルペスウイルスの感染が原因です。 成人のヘルペスで最も多いのが、唇に発症する口唇ヘルペスです。

まず痒みや違和感といった前駆症状(「ムズムズする」と表現する患者さんが多いようです)が現れ、1~2日して赤みと腫れが生じ、水疱が発生します。症状に応じて、抗ウイルス薬の外用剤や内服薬を処方します。

いぼ

首のいぼ (アクロコルドン)

年齢とともに、首やわきの下に小さなイボが出来て、だんだんと数が増えてくることがあります。襟のあいた洋服を着た時に見えたり、タートルネックを着るとちくちくしたり、ネックレスが引っ掛かったりして気になる、という方も多くいらっしゃいます。

一般的にイボと呼ばれる状態には、ウイルス感染によるもの(尋常性疣贅や伝染性軟属腫)と非感染性のものがあります。首にたくさんできてくるイボの多くは非感染性で、大部分は次に説明するアクロコルドンとスキンタッグです。
アクロコルドンとスキンタッグは中高年以降に目立ってきますが、20歳代から徐々に出来始めます。これらのイボが生じる原因はわかりませんが、首以外にもまぶたやわきの下、胸など皮膚が薄くて弱い部分に見られる傾向があります。皮膚の良性腫瘍の一種で、特に心配な病気ではありませんが、衣類でこすれたり、ねじれたりして炎症を生じることがあります。

治療

アクロコルドンの形によって小さなはさみで切ったり、液体窒素で凍らせる治療を行います。

老人性イボ(脂漏性角化症)

光老化が関係しているといわれるイボ状の良性のできものです。多くの場合は液体窒素で治療ができます。

粉瘤

皮膚の下に袋状のものができ、その中に垢と皮脂が溜まった良性のできものです。炎症性粉瘤は赤く腫れ上がり痛みを伴いますので、抗生剤の内服外用が治療となります。但し、炎症がひどく膿が溜まってしまった場合は切開して排膿する必要があります。根本治療は小手術による袋の摘出です(炎症が完全におさまってから)。

ほくろ(母斑細胞性母斑または色素性母斑)

褐色ないし黒色、ときに正常皮膚色の色素斑あるいは腫瘍で、良性のできものか、ホクロの癌(悪性黒色腫=メラノーマ)かダーマスコープを使って診察します。
ホクロの癌が疑われる場合や手術による切除をご希望の場合には、連携する大学病院のドクターをご紹介します。

円形脱毛症

自己免疫の関与が考えられているほか、精神的ストレスが誘因となることもあります。

治療はステロイド外用剤の塗り薬、ステロイド・セファランチン・グリチロン・抗アレルギー剤の内服、ステロイドの局所注射、液体窒素圧抵療法などがあります。

やけど

やけどは、日常生活において最もよく見られる外傷の一つです。
やかんやポットの湯、コーヒーやお茶、てんぷら油、またカップ麺の湯などによる高温の液体によるやけどが多く、ストーブやアイロンなどへの接触によるものがこれに続きます。
やけどをしたら、30分以上水道水などの流水ですぐに冷やすことが肝心です。
これにより熱による組織損傷が深くなることを防ぐだけでなく、受傷した部位の炎症を抑え、痛みをやわらげることができます。その場合、無理に衣服を脱がず、水道水などの流水を衣服の上から直接かけます。

治療

当院では、皮膚にとどまるやけどまででしたら治療いたしますので、ご相談ください。
やけど部分に薬以外のものを塗ると、かぶれや細菌感染を起こすことがありますので、患部薬などを塗らずに、すぐに受診してください。ティッシュなどを貼ると患部にくっついて処置が難しくなる場合がありますので、貼らないでください。
やけどが広い範囲にわたる場合は、やけどをした部分の炎症によって血管内の水分が移動して減少し、循環障害から血圧低下を来たす場合があり、全身管理が必要になります。こうした場合は入院施設のある医療機関への受診が必要です。

巻き爪 (陥入爪)

巻き爪とは、足の指にある爪の両端の先端部が、大きく内側に湾曲した状態を言います。負担のかかりやすい親指の爪が巻き爪になることが多いのですが、その他の指の爪もなることがあります。
巻き爪は、見た目が悪くなってしまうだけのことと、侮ってはいけません。巻き爪が進行すると、肉の部分に曲がった爪がどんどん食い込んでいき、炎症を起こして次第に激しい痛みを引き起こすようになります(陥入爪)。さらに、曲がった爪に巻き込まれた皮膚が化膿してしまい、歩くことが困難になる場合さえあるのです。
また、強い痛みから足をかばおうと、いつもとは違った歩き方をしてしまうために、足首や膝、腰にも負担がかかり、捻挫や膝痛、腰痛の原因になるケースもあります。

治療

  • 爪を短く切らないことです。趾の皮膚より少し出る程度に爪を整えてください。
  • 炎症がある場合は抗生剤の内服と外用
  • テーピング法:爪がくい込んでいる皮膚をテープで引っ張る方法
  • 巻爪クリップ矯正 (自費)
  • 手術療法:変形した爪が生えてくる爪母(そうぼ=爪の付け根の爪をつくる部分)をなくしてしまう
    (この場合、連携している形成外科をご紹介します)

多汗症

多汗症とは手足やわきの汗が通常の人よりずっと多く、そのために生活に支障をきたしている状態です。

  • 紙に何か書いていると、紙が湿ってよれよれになってしまう。
  • 足から汗が多く出て、いやなにおいがしてくる。
  • わきの汗がたくさん出て、冬でも衣服がぬれてしまう。

――こういった症状でお困りの患者さんがいらっしゃると思います。
こうした多汗症の治療には、以下のような方法があります。

塩化アルミニウム外用 (自費)

塩化アルミニウムは収斂作用(組織を縮める作用)のある薬剤で、これを用いて汗腺の穴を塞ぐことにより、汗の量を減らす治療です。どの場所にも塗ることができるため、手足、わきのいずれにも使用が可能です。ただし刺激性があるため、傷があるところなどへの使用を控え、またヒリヒリするようなら使用を中止します。

D-Tube (自費)

制汗作用と匂いを抑える作用のあるクリームです。脇だけではく、足の匂いの気になる方にも使っていただけます。とても好評です。